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東海大学の熱音響エンジンとは? – 発電の原理、効率について

投稿日:2015年12月15日 更新日:

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東海大学の長谷川真也助教が高効率な「熱音響エンジン」なるものを開発中です。その仕組みが凄い、面白いと注目を集めました。

その熱音響エンジンとは温度差から音波を発生させるデバイスであり、これまでのエンジンに比べて熱効率はかなり良く、他にも多くの利点があるとのことです。

では、熱音響エンジンの原理や長所、実際の使い道には一体どのようなものがあるのでしょうか。

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熱音響エンジンの原理


※長谷川助教による熱音響現象の実験動画。1分で非常にわかりやすいです。

熱音響エンジンとは、熱から音を発生させる「熱音響現象」を利用したものです。

熱音響現象というのは、熱と音とのエネルギー交換が可能な現象のことを言います。

例えば「雷」がゴロゴロと鳴る理由は、放電の際に熱が発生し、周囲の気体と温度差が生じることで空気が振動するからなんですね。

この「熱から音が出る」という原理を逆に利用して、エネルギーを獲得するのが熱音響エンジンです。

今回開発した熱音響エンジンは、細い管の中などの限定されている狭い空間内に温度差を発生させ、空気の振動を起こして音を発生させるというものです。

エネルギーの発生原理は、「廃熱で音波を発生させる→スピーカー等で音波を増幅させる→熱音響発電システムを通して電気や熱を得る」という仕組みになっています。

熱音響を詳しく理解するのは難しかったのですが、どうやら音と熱の発生には互換性があるようですね。スピーカーに電気を流すと音が出るように、スピーカーに音を流すと電気が発生するのです。

熱音響現象を使った機器の長所

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出典:熱音響デバイス研究 http://www.ed.u-tokai.ac.jp/thermoacoustic/

  • 構成が単純なので安価
  • 可動部がないので長寿命である
  • 外燃機関のため熱源を選ばないこと
  • 環境に与えるダメージが少ない

これらの長所は従来のガソリンエンジンでは実現出来ないことですね。

今回東海大学で作っている熱音響システムは設計が難しいものの、構造は鉄パイプと少量の部品という機械部品を使わないシンプルな構造です。

そのため、耐久性が高く安価で作ることが出来るというわけです。

また、音波を発生させるということは音がうるさいのでは?と考えがちですが心配はいりません。音からエネルギーを得るには密閉空間を作る必要性があるため、音が漏れることはほとんどなく騒音が発生することはないのです。

さらに長谷川助教によると、「車のエンジンや工場などから発生しているエネルギーは実際には3割程度しか使っておらず、約7割のエネルギーは廃熱として捨てている」とのことです。

この捨てている7割の熱を利用して、効率よくエネルギーを獲得するというのが熱音響エンジンの活用方法なんですね。

熱音響エンジンを利用する想定場所

  • 車の排熱から、モーター電力の一部とする
  • 工場の廃熱から内部電力を発生させる

既に研究では300度の熱源から18%という高効率のエネルギーを得ることに成功しています。

この300度という温度は非常に高温に感じますが、なんと車や工場などでも存在出来るような「低温」であるそうです。

しかし、今のところはエンジンのサイズが巨大化してしまうという問題があるので、小型化が実現可能になるまでは実用化は期待出来ません。

まとめ

熱音響エンジンは新しい変わった仕組みで面白いですね。

エンジンそのものが自発的に可動してエネルギーを発生させるわけではなく「熱源」という外部のエネルギーを利用しているため、機械というよりは「道具」という風にも感じますね。

実現するには未だ課題は多く、実際に製品化することが出来るようになるのはまだまだ先のようです。

しかし、長谷川助教は5年後の実用化を目指しているとのことで、実用化が出来れば多くの分野で活躍してくれることでしょう。

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