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ベンゼンの毒性とは?正しい用途と発がん性の危険について

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最近何かとお騒がせな「ベンゼン」。

ベンゼンが検出されたからヤバイとか基準を超えるベンゼンがどうのと良く耳にしますが、一体何がどうヤバイのかイマイチわからないのではないでしょうか。

ベンゼンについて簡単に説明しますと、原油に含まれる「芳香族炭化水素」と呼ばれる化合物のひとつがベンゼンです。

引火性が高く、甘い香りがする液体です。引火性が高いということは揮発性が高いということなので、気化し易く、呼吸等で人体に取り込まれやすいというのもポイントとなります。

以下より、その性質と危険性を分かり易く説明していきます。

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ベンゼンの毒性とは?発がん性が高い?

肝心のベンゼンが持つ毒性ですが、国際がん研究機関(IARC)によって発がん性があると勧告されています。

この「発がん性がある」というのも、発がんリスクによって5グループに分けられるのですが、ベンゼンは「グループ1」という「ヒトに対して確実に発癌性がある」という、最悪のグループに属します。

ベンゼンは紫外線などに反応し、「フェニルラジカル」というものを発生させます。ラジカル種と呼ばれる物質は無数にありますが、このフェニルラジカルは他の物質との反応性が非常に高く、ラジカル種の反応性と発癌性は比例するので(反応する時に発がん物質を生み出す)、フェニルラジカルは発癌性が高いラジカル種であると言えます。

そして、ベンゼンは体内で分解されにくく、長く留まり続けるため、結果的に発癌リスクが高まるのです。

簡単にまとめると「すぐに気体になって身体に入ってくる上に、長い間身体の中に居座って、発癌性の高い物質を出し続ける危険なもの」ということです。

ベンゼンがあるにもかかわらず、トルエンやキシレンなどの有機溶剤が主に使われていることから見ても、その危険性が広く認知されている事がうかがえます。

ベンゼンの用途と特徴は?

ベンゼンの毒性についてご説明しましたが、ベンゼン=悪というわけではありません。ちゃんとした用途があり、世の中に役立っているのです。

石油化学においては基礎的化合物のひとつとして位置づけられているものです。

原油などの炭素が豊富に含まれた物質を不完全燃焼させて生産し、火山の噴火や森林火災でも発生し、煙草の煙にも含まれています。1950年代までは製鉄業における石炭を使用したものから作られていましたが、現在では9割以上が石油から作られています。

ベンゼンの用途は材料としての役割を持ちます。プラスチックの原料になるスチレンや、樹脂の原料になるフェノール、ナイロンの原料になるシクロヘキサンなどの材料になります。

ベンゼンに毒性があるのは今となっては常識かと思いますが、その毒性が発見される前はペンキはがしや染み抜きなどの、家庭用の有機溶剤にも広く使用されていました。

現在ではベンゼンに変わって毒性が比較的少ないトルエンが使用されており、日本では労働安全衛生法の規定により、すでに溶剤としてのベンゼン使用は原則禁止されています。

ベンゼンのまとめ

ベンゼンはそのまま検出されると危険極まりないのですが、わざわざベンゼンを作り出すこともあるほど必要な材料の一つでもあるということでした。

ただ、ベンゼンの危険性は世界中で重要視されており、これまでも発がん性による業務災害が発生しています。大気汚染に関する環境基準も定められているほどです。

特に食べ物の中に含まれる場合は微量でも問題になり、英国では食品添加物から生成された微量のベンゼンを含む清涼飲料水が自主回収されたこともあります。

 

また、都市ガスを製造する際にも発生し、土壌の中でその濃度は濃くなります。地下水も汚染されることから、その跡地で生鮮食品を扱うのは非常に危険なことです。移転で話題の豊洲市場においては最大で43000倍もの濃度のベンゼンが検出されています・・・。

ガンは人間にとって大変な病気ですから、それにかかる危険性があるものは出来る限りなくしたいものですよね。

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