「歌舞伎こけら落とし」や「こけら落とし公演」という言葉を聞く機会があると思います。そもそも「こけら落とし」とは一体どのような意味なのでしょうか。
簡単に説明すると、こけら落としとは、
新しい劇場や改築された建物で初めて行われる興行や催し物のことです。
また、
- こけら落としの「こけら」とは何?
- なぜ「こけら落とし」というのか?
そんな疑問を解決して頂ければと思います。
「こけら」とは
「こけら」とは、材木を削った時に出る切り屑のことです。
漢字では「杮」と書いてこけらと読みます(果物のカキではありません)。かきは「柿」と書きます…が違いがわかりにくいので下の画像をご覧ください。
「こけら」と「かき」の違いは「市」の部分が鍋蓋か、一本で繋がっているかの違いのみです。
ちなみに昔は同じ漢字として使用されていたこともあったようですが、現在は「柿落とし」と書くのは間違いとのことです。さらにJIS漢字では既に「柿(かき)」しか存在しませんので、今は「こけら落とし」と平仮名で書くのが一般的です。
なぜこけら落としというのか?
新築や改装工事の最後には屋根の木片(こけら)を払い落としてキレイにする作業があります。
そのことから無事に工事が完成したことの証明でもある、完成後の初公演のことを「こけら落とし」というようになりました。
こけら落とし公演は注目されやすく来場者数も多いため、準備公演を複数行ってから「こけら落とし公演」として開催するケースが多く、現在は厳密に初公演のことをこけら落としと表現しないこともあります。
また、歌舞伎では「こけら落としを見ると寿命が伸びる」と言われるなどかなり縁起の良いことのようですね。
本来は劇場のことを表す
2015年の秋にはガンバ大阪の新スタジアムが完成し、こけら落とし試合が2月に行われるとサッカーファンの間で盛り上がっているようです。
建設工事の最後に木屑を払い落とすことが語源となっていることから、競技場や球技場などのスポーツ施設でも「こけら落とし」と表現することもあります。しかし、本来は劇場に用いるもののため誤用と指摘する声もあるようです。
といっても日本語の意味は少しずつ変わっていきますので、誤用も続けば正しい使い方になるかもしれませんね。