風邪の予防に良いと言われる「手洗い・うがい」。
毎日行っている人も多いと思いますが、実は日本独自の衛生習慣である「うがい」は本当に効果があるのでしょうか。
- 食事をすれば食べ物と一緒に菌が胃に入って、胃酸で死ぬのでは?
- 普段から殺菌作用のある唾液を飲み込み続けているから必要ないのでは?
今回はこんな疑問や正しいうがいのやり方について解説します。
うがいの意味
口内に入ったウィルスは増殖して喉に炎症、いわゆる風邪を引き起こします。胃酸で殺しきれない細菌は腸まで届き、腸炎にかかったりします。
このうがいとは口内にいる細菌を除去するというだけでなく、喉を潤すことでウィルスが付着・増殖しにくい状態にするという意味もあるのです。
しかし、うがいをした直後には空気中の新しい細菌が付着していくわけで、たまに1回うがいをしたというだけで効果を得られるものではないでしょう。
特に冬場は空気が乾燥しているため、口の中が乾燥している人は少なくありません。日本のドライマウス患者は推定800万人と言われるほどです。
感染症予防という観点で見ると、定期的なうがいをすることが必要となりますね。また、うがいは口臭の予防にもなります。
うがいの効果は研究調査によって証明されている
京都大学の研究で、うがいによる風邪の抑制効果が検証されています。
無作為化試験
ボランティアで集まった387名を、3つのグループに分けた。
- 「水うがい群」
- 「ヨード液うがい群」
- 「特にうがいをしない群」
これらの387名には2ヶ月間に渡って割り付けられたうがい行動をとってもらい、風邪の発症を追跡した。
100人中の1ヶ月あたりの発症率は以下の通りである。
- 「水うがい群」は17.0人
- 「ヨード液うがい群」は23.6人
- 「うがいをしない群」は26.4人
これらの結果を多変量解析で計算すると、水うがい群の発症確率はうがいをしない場合と比べて40%も低下することとなった。
その一方でヨード液うがいは12%の低下にとどまり、統計学的に意味のある抑制効果とは認められなかった…。
風邪予防には水でのうがいが有効
上記のような検証結果により、風邪予防のうがいは水道水で行う必要があるとわかりますね。
うがい薬の効果がないことには少し驚きですが、水道水には塩素が含まれており、それが風邪予防に効果を発揮したのではと考えられています。
うがいをやる意味、予防効果はちゃんとあったのです。
イソジンなどのうがい薬は、身体に害のあるウィルスだけでなく必要な常在菌まで殺してしまうため、「ウィルスを除去+ウィルスにかかりやすくなる」ということでプラスマイナスゼロなのではと考えられます。
しかし、既に喉に炎症を起こしている場合や痛みがある場合にうがい薬は有効です。
鎮痛・消炎効果のあるうがい薬は病院から処方されることもあります。
緑茶でのうがいがさらに効果的!
緑茶に含まれる茶カテキンの抗酸化作用や抗菌作用が風邪予防に効果があります。
緑茶にはカフェインやビタミンCなど様々な成分が含まれているため、喉の炎症にも効果があるとされています。
浜松医大の研究では、緑茶でうがいをし続けた子供は、うがいをしない子供に比べて7割近くも風邪になる割合が少なかったという証明がされています。
単純に考えて、細菌を飲み込むよりは吐き出した方が効果があるでしょうね。
まとめ
うがいにはしっかりと意味があるということで、今までの行為が無駄ではなかったと少し安心ですね。
風邪予防、口臭予防、炎症を抑えるなど、状況に応じたうがいを行うことによりさらに効果が得られます。
しかし、インフルエンザなどのすぐ細胞に取り込まれてしまうウィルスにはうがいの効果はほとんどありません。
病気を予防するためにはうがいだけでなく、マスクや加湿器などで湿度を保つ、バランスの良い食事をとるなど、気をつけるところはたくさんありそうです。