よくドラマやアニメなど、雪山の吹雪のシーンで「寝るな!寝ると死ぬぞ!」というセリフを聞いたことがあるかと思いますが、これは一体どういう原理なのか気になりませんか?
体力を消耗しているなら、逆に寝て温存できそうな気がしますよね。クマのように冬眠する動物だっていますし、寝た方が体力を回復できそうな気さえします。
他にも寒い季節はなぜかあくびが出たり、眠くなってしまったり…。かと思えば、暖かい部屋から寒い外に出ると目が冷めたりするので、ふと疑問に思ったわけです。
このメカニズムについて調査してみました!
寒い状態が続くとなぜあくびが出る?
雪山で遭難するなど、寒い状態が続き極限状態となるとあくびが出る現象は、人間の生命維持装置が働いているために起こるのだそうです。
人間の身体は体温が低下して寒さを感じはじめると、体力を確保するために代謝活動を低下させる仕組みを持っています。そうして代謝活動が低下すると眠くなるため、あくびが出てしまうというわけ!
冬眠をする生物も、冬眠中は低体温で仮死状態となっています。しかし、人間は恒温動物であるため、ある程度体温が低下すると生命活動の停止…つまり死んでしまうのです。そのため、人間が極端に寒い場所に行き、その状態を保ち続けるとあくびが出て眠くなる、というのは自然なことなんですね。
でも寒いと目が覚めるんだけど?
但し、防寒具を万全に整えてから寒い場所に行ったら、むしろ目が冴えたという経験はありませんか?
実は、「寝ると死ぬ」という状態は特定の条件があり、歩き回ったりして体力自体を消耗していたり、体温を維持できる防寒具を装備していなかったり、身体が濡れていて体温が奪われ続ける状態にある場合、生命の危機に晒されるようです。
すなわち、雪山で吹雪に遭遇し、どこか寒さを凌げる場所はないかと死に物狂いで歩き回った結果、冷えきった洞穴で凍えていたら眠くなってきた~というのは条件を満たしており、凍死まっしぐらで大変危険な状態です。
しかし、雪山を歩き回って偶然ロッジを見つけて、中で火にあたることができ、暖かくなって毛布でくるまって眠くなった、という場合は大丈夫です。疲労による眠気だけなので、寒気による生命の危機には晒されていません。
というわけで、体温を常に奪われ続ける状態、冷えきっている状態では絶対に眠らないようにしましょう!
寒いときに眠気が襲ってくるのはなぜ?
寒いと眠くなってしまうことが起こりますが、これは単純に「交感神経」と「副交感神経」が関係していると言われています。
寒い時期は通常「交感神経」が優位に立ちますが、暖房のきいた暖かい部屋などにいて「副交感神経」が活発になってしまうと、眠いという感覚が襲ってきてしまいます。
また寒い時期は入浴で体を温めたり食事などのエネルギー補給をすると、副交感神経が優位に立ち、眠気が来ると言われています。感覚的には「寒いけどちょっと暖かい状態」が眠くなりやすいかと思います。
体が自分を守ろうとバランスをとっている当然のメカニズムですので、必要以上に心配する必要はないと考えられます。
逆に、夏場、クーラーなどの冷え切った室内から暑い外へと移動するときには、このメカニズムのバランスを壊して自律神経が乱れるので注意するようにしましょう。
寒いのに眠すぎるのは病気?
ついつい眠くなっちゃう…程度なら大丈夫だと思いますが、寒い時期に眠くて眠くてたまらない…といった場合は冬季うつの可能性も考えられます。
冬季うつは日照時間が短いことが原因の一つにあげられます。日照時間が短いとメラトニンの分泌する量やタイミングに変化が起きて、眠い状態を引き起こします。
また、セロトニンも日光に当たることで増やすことができますので、朝になるべく日光を浴びるようにし、時々運動をすることで健康維持に役立ちますね。
これは冬季うつに限ったことではなく、日々日光を浴びて軽く運動をするなどの規則正しい生活を送ることで、過度な眠気はなくなり健康的な体が出来ると考えられるためです。
また、そうすることで健康維持の向上にも一役買ってくれますので、日頃の生活環境はとても大事だといえます。また、寒い時期は特に、日の光を浴びるように心がけましょう!