蜘蛛の巣の強度についてご存じでしょうか?
蜘蛛の糸が強靭なことはとても有名ですよね。クモの巣は円形の網状だけでなく、不規則型・皿網・すじ網など種類によって網のはり方が異なります。
糸の成分も蜘蛛の種類によってそれぞれ異なりますが、どれも強度が尋常でないことは変わらない事実!人工的に蜘蛛の糸を作ろうと毎日研究がなされているくらいなんですよ。
蜘蛛の糸について見ていきましょう。
クモの糸の強度とは?
実は、蜘蛛の糸の強度は鋼鉄の5倍とも言われています。
『クモの巣と網の不思議』の著者:池田博明氏によると、クモの糸の成分はアミノ酸、タンパク質なのだそうです。糸の強さについても、詳しい記述がされていました。
強度(テナシティ)はナイロンよりやや劣りますが、弾性力は約二倍です(クモ糸31%に対してナイロン16%)。同じ太さの糸で、引っ張ったときになかなか切れない性質(引っ張り張力)を比べますと、骨や腱、ゴム、植物繊維よりも大きく、鋼鉄の半分にも達しています。
乾燥したクモの糸は弱く、1mの糸を30cmほど伸ばすと切れてしまいます。しかし、水分を含んでいれば3倍に伸ばせるほどの粘弾性をもちます。
地面の石がなぜか浮いている!というびっくり動画がテレビで取り上げられたこともあるのですが、ふと上を見ると電線の方から蜘蛛の糸が垂れ下がっていました。
蜘蛛の糸はたった5ミクロン(0.005mm)という糸の太さで小石を持ち上げてしまうほどのパワーであり、もしそれが普段の私たちが糸として使っているものと同じ太さになれば、それはもう物凄い強度ということです!
石が宙に浮く動画↓
また、10年前に「蜘蛛の糸を集めて作った太さ2.6mmのロープに、65kgの人がぶら下がっても平気だった」という実験結果もあります。しかも、理論的には実験に使った2.6mmの糸で600kgまで耐えることができるとのこと。
スパイダーマンは物凄い量の糸を出しますが、あれだけ太い蜘蛛の糸なら映画通りの強度があってもおかしくないかもしれませんよね。
実際、太さ1cmのクモの巣を作れば、飛んできた飛行機を受け止めることも出来てしまうのだとか!
クモはなぜ自分の糸に絡まない?
クモの巣をなぜ作るかといえば、獲物を捕まえるためです。
巣には粘着性があり、飛ぶ力の強いトンボやハチでさえも一度捕まったらおしまいです。しかし、クモは自分の糸に絡むことはほとんどありませんよね。
一体なぜなのか、その理由をご存じでしょうか?
・・・。
なんと、未だ完全には解明されていないそうです。
よく耳にする「縦糸には粘着性がなく、横糸にだけ粘着性があり、クモは縦糸だけを上手く伝って歩いているから」という理由は半分正解なのだそうです。
というのも、クモが上手く縦糸を伝うことが出来ているのは「しおり糸」というお尻から伸びた糸が身体を支え、糸を辿って巣の中のどこにいるかを蜘蛛自身が把握しているから。
一度クモの巣から離したクモを、もう一度同じ巣に戻しても上手く歩くことはできないのです。
蜘蛛もたまには糸にひっかかる
蜘蛛自身は網に全くひっかからないものと私たちは思っていますが、たまには粘着性のある横糸に足がひっかかることもあるそうです。
そんなときに蜘蛛は、無理やり引っ張って糸から足を離すんですって!
このように蜘蛛が糸から足を離せる理由は「足の先から油が出ているから」といわれています。しかし、その定説をほとんどの人が信じきっていたため、実際に油が出ているのかどうかを確認するための実験は上手く出来ていないようです。
蜘蛛の糸は夢の繊維!
まだまだ研究開発が期待できる分野ですね。数年前には日本のベンチャー企業が蜘蛛の糸を人工的に作る技術を実現し、様々な場面での応用が期待されています。